その他施工実例

2019.03.30 / その他施工実例京町家をローコストで一棟貸の宿(ゲストハウス)にリノベーション

こちらの案件はリボーンキューブ初の“ゲストハウス”リノベーションでした。また、こちらのお客さまについては、先立つことおよそ半年くらいに前に別の物件で一度ご相談頂いており、ファーストプランのご提案プロセスくらいまで進捗していたのですが、その時はご事情によりやむなく計画中止となったため改めて仕切り直してのご相談でした。

 

立地的には二条城の北あたりのエリアとなり、JR二条駅(地下鉄二条城駅)徒歩圏内でしたので、周囲の京都らしい趣のある街並みと相まってゲストハウスとしては打って付けの好立地と言えました。ただ、事業用案件であることから、施行面積に比してタイトなご予算設定だったため、当該物件を見つけられた初期の段階より一緒に現地を拝見させて頂きつつ、ご希望予算内で開業に漕ぎ着けて頂けるレベルの工事対応が可能かどうかのジャッジさせて頂くところからスタートしました。

 

建物的には内外装とも相当老朽していたものの、昔のまんまの“京町家の佇まい”が良い状態で残っており、ヘンに改装等の手入れがなされていなかったぶん、造形的にもそのまま使えそうな点が多かったことなどが功を奏し、事前の調査で何とかゴーサインを出させて頂くことが出来ました。(それをもってお客さまの方も物件のご契約を進められたのでした。)

 

打ち合わせについては事業用案件と言うことと、前述の通り既存の造形を生かして行く箇所が多かったこともあり、普段の住宅リノベーションと比べますとかなりスムーズ(短時間)に進んだ印象があります。とは言え、打ち合わせが進んで行く中でせっかくならここもあそこも・・・と、どうしても施行項目が膨らみがちになって行きましたので、一方では見積もり金額を心配しながらの打ち合わせとなりました。

 

そうして出て来た実際の見積もりですが、先の心配が現実となり!?予算をかなりオーバーしたものとなりました・・・。そこで、今度は思い切って“取捨選択”をして行くことになったのですが、とは言えゲストハウスとして開業するためには、どうしてもやっておかなければならない施行項目も結構ありましたので、逆に住宅リノベーションの場面よりも厳しい点がありました・・・

 

しかしながらこの場面でも、やはり既存の佇まいを生かせる点が多かったことが幸いし、最終的には当初のご予算よりも幾らかオーバーはしたものの、何とかゲストハウスとしてのカタチを整えられるレベルのリノベーションが出来るメドが立ったのでした!(また、今回のお客さまが滋賀で大きな旅館を経営されていたことから、そちらに数多くの“書”や“骨董”を所蔵されており、それらを備品としてゲストハウスの方へ持って来られる点もかなり大きかったと思います・・・。)

 

こうして、古き良き京町家の趣を最大限に生かした“ゲストハウス空間”が誕生したのでした!もちろん今回はリノベーションの設計施工だけではなく、ゲストハウスの開業に欠かせない「旅館業」の許認可のお手伝いの方もさせて頂きました。具体的には、所轄区役所(保健衛生課)へのヒアリングのための同行および同申請書類作成補助、消防設備適合証明取得のための申請および同検査立ち会い等々です。そんなこんなで、こちらの手続きに関しても施行完了後直ちに消防検査〜証明書受理、次いで旅館業許可申請〜許可証受理・・・とスムーズに進んで行ったのでした。

 

なお、今回はいつもの様に作品名としてのネーミングをすることはなく、お客さまが先に経営されている旅館の屋号をそのまま使われました。ただ、そちらの旅館の“別邸”としての位置付けから、“庵”と言う文字を付け加えられその名称とされました。なお、今回は敢えてゲストハウスとして開業された後に撮影をさせて頂きましたので、いつもとはまた一味違ったビフォー・アフターをお楽しみ頂ければと思います!

 

■物件概要/築年数不詳・京都市上京区中務町・京町家戸建・ゲストハウスリノベーション・延べ面積98.10m²・構造:木造瓦葺2階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面、天井仕上:既存利用のうえ(一部PB貼りの上)AEP塗装仕上・1階客室床仕上:無垢杉板貼り仕上(OS塗装仕上)・2階客室床仕上:畳敷き仕上・ラバトリー:洗面台造り付けのうえ壁・床タイル貼り仕上・浴室:在来工法タイル貼り仕上・トイレ:便器等既存利用のうえOSCL塗装仕上・建具:既存利用の上OSCL塗装仕上・その他:ウッドデッキ施行他

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)