その他施工実例

2019.03.30 / その他施工実例レトロ感いっぱいの音楽室のある古民家リノベーション

こちらの案件は、お客さまの方であらかじめ目星を付けられた物件について、最終決断のための再内覧の段階よりご相談(内覧同行のご依頼)を頂きました。(とは言え、物件探しのスタート段階よりご相談を頂いておりましたので、結果的に他業者さんにて物件を見つけられたと言う格好になるのですが・・・。)ちなみに当初よりご夫婦共通のご趣味である楽器演奏が気兼ねなくできるお家にしたい!とのご要望を持っておられ、そのために専用の“音楽室”がつくれる広さの物件を探したいとのリクエストを頂いておりました。また、同時に京町家をはじめとした味わいのある古い佇まいの建物がお好みだと言うことも仰っていたのですが、今回見つけられた物件がまさにそれらのご要望にドンピシャリだったのでした!

 

と言うことで、立地的には若干郊外のエリアですが、ご要望通り味わいのある古民家建ての稀少な建物で、また敷地形状が旗竿形状(専用通路形状)であることから、その分非常にリーズナブルな物件価格で、正直最初に資料を見せて頂いた時には“再建築不可”物件だと疑ってしまったほどでした・・・。(郊外立地である点を考慮しても1千万台の物件価格で、土地237m²・建延126m²と言う驚異的な広さだったためです。)実際に内覧に伺ってみると、旗竿形状の敷地でありながらも普通車がゆったり駐められる間口があり、立派な松の木や桜の木が植えられた広い庭もあり、また何と言っても建物そのものが趣のある凝った造りの古民家建ての和風建築で、庭に面した広縁付きの本格的な和室をはじめ、広さの点においても音楽室を設けてもその他のお部屋のゾーニングが賄えそうな十分な広さを有した物件でした。そんな稀少な物件でしたが、業者さん曰く新築プラン付きの土地としても並行して販売中とのことで、このタイミングでご決断されなければおよそ1週間後には取り壊して更地にする予定だとのお話しでしたので、広さとご予算のバランス的に若干厳しい点はありましたが、既存を上手く活かしながらプランを工夫して行けば何とかご希望のリノベーションが叶えられるであろう点をお伝えし、そのままご購入を決断頂いたのでした。

 

リノベーションに際しての第一のご希望は、まず何と言っても8帖大の完全防音の音楽室を設けることと、和室ばかりでいくつもの部屋に仕切られていた既存の間取りを一室空間のリビングダイングにゾーニングし直すことでした。その他には、浴室や洗面などの他の水回りからポツンと離れた場所にあったトイレをそれらの近くに移動して集約することなどでした。また、デザインテイスト的には、出来るだけ既存の和の設えを活かしつつ、現代風のデザインと馴染ませたレトロ感のある空間にすることなどでした。

 

そこで、防音室については以前に一度一緒に仕事をさせて頂いたことのある防音工事屋さん(作品例「TONE」参照)にコンタクトを取って概略をお話しし、直接お客さまにご紹介させて頂き進めて頂くことにしました。この点については、どうしても楽器に関しての専門的なやり取りが必要になることが予想されましたので、それが通じる人たち同士で直接お話しして頂いた方が話しが早いだろうと思ったことと、どうしてもそれなりの予算が掛かることでしたので、直接発注頂くことで少しでもそのコストを抑えてもらうことが出来ればとの考えからでした。(その分のご予算を少しでもリノベーションの方に振り向けて頂くことで、よりお客さまの理想の空間に近づけることが出来るだろうと考えたためです。)とは言え、防音室の区画がLDKと和室に隣接していましたので、空間全体のデザインの整合性を取る等の点においては防音工事屋さんとやり取りさせて頂きながら共同歩調で進めさせて頂きました。(防音室内の床材発注や壁面の仕上げ、さらに照明等の工事区分の取り決め等についても同様です。)

 

こうして、壁や天井などは出来る限り既存を活かす形で利用しつつゾーニングについては大胆に刷新した、まさに新旧が上手くミックスされたレトロ感満点のリノベーション空間が完成したのでした!(出来る限り既存を活かすと言うコンセプトに沿って、欄間や木製建具等についても塗装を施す等にて新たな空間に馴染む様化粧直しの上再利用させて頂きました。)なお、ご予算的な兼ね合いから、今回2階部分については畳のお部屋をタイルカーペットにやり替えたり、一部クロスを貼り替える以外は既存のままとさせて頂きましたが、DIYを苦にされないお客さまですので、あとはボチボチご自身で楽しみながらペンキ塗り等をして完成させて行きますと仰って下さっています・・・。

 

作品名の「largo(ラルゴ)」は私共で考えさせて頂いたのですが、今回のメインテーマである“音楽”にちなんで、クラシック音楽用語より選ばせて頂きました。その意味は“非常にゆったりとした速度で”と“表情豊かに”と言うもので、まさに今回のリノベーション空間にピッタリだと思い迷わずネーミングさせて頂きました!と言うことで、これまでゆったりとその表情を刻んで来たであろうこの古民家で、これからもゆったりとした速度で表情豊かな経年変化を味わいながら暮らして行って頂ければと思います!

 

■物件概要/築年数不詳・京都市南区久世築山町・一戸建・個人住宅リノベーション・施行床面積101.71m²・構造:木造瓦葺2階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面、天井仕上:既存利用の上(一部PB貼りの上)AEP塗装仕上・リビングダイニング床仕上:無垢ワイルドアカシアフローリング貼り仕上(オイル塗装仕上品)・その他居室等床仕上:和室畳敷き仕上、2階タイルカーペット貼り仕上、物干しコーナーおよびキッチンPタイル貼り仕上・ラバトリー:オリジナル洗面カウンター制作の上、床Pタイル貼り仕上・トイレ床Pタイル貼り仕上(LIXILリフォレ使用)・建具および特注家具:シナOSCL塗装仕上(一部既存建具塗装の上使用)・その他:音楽室(防音室)別途紹介工事、2階洋室壁クロス貼り替え他

■リノベーション期間/約2ヶ月(解体工事期間含む)