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2019.03.13 / その他施工実例 家族が集う、温もりが感じられるリノベーション

今回のお施主様はブログでもご紹介させていただきましたが神奈川の川崎市にてリノベーションさせていただいたリボーンキューブ初の関東方面でのお施主様です。今までも関東方面のお客様からお問い合わせはたびたびいただいておりましたがやはり遠方ということで交通費などの余分な費用も掛かることなどからも実現することがありませんでした。しかし今回のお施主様はお問い合わせ当初からリボーンキューブにご依頼いただくことをお決めになっていただいてたようでお話がトントン拍子に進みました。当初、それまではお電話とメールでのやりとりでしたので初めてお会いしてお話するためにご自宅に訪問させていただきました。
ご依頼いただいた経緯をお伺いすると、その時にお住まいだった新築マンションを購入されてまだ数年しか経っていないということでしたが、どうしても自分たちの思っていた住み心地と違うということから納得がいかれずにそのお住まいのマンションを売り払い築34年経った古いマンションを購入しておられました。その時点ではどこにリノベーションを依頼されるかを決めておられず白紙の状態だったということでした。どこに依頼しようかとネットで探している時にたまたまリボーンキューブの存在を見つけられ、京都なので遠方であることは解っておられましたがリボーンキューブの作品のテイストを気に入っていただいたことからお問い合わせをいただきました。
首都圏ということもありリノベーション会社も数多くご存知で、一番有名なB社の勉強会や内覧会にも参加されておられました。ところがなぜかしっくり来られず、そんな中からリボーンキューブにご依頼いただけたというのは本当に光栄なことですし、なんとしてもお施主様の期待に応えるべくお施主様の思い描いておられる理想の空間をぜひとも実現したいと固く思いました。
通常、打ち合わせはお施主様とお会いしてお話を進めるのが行き違いがなく解りやすくてよいのですが、そうなると度々行き来をしないといけないことから交通費も嵩みますので最小限に留め、できる限りメールや電話でやり取りして進めるようにしました。当初からお施主様とフィーリングがすごく合ったこともあり思った以上にスムーズに打ち合わせを進めることが出来ました。見積もりの段階で価格がかなりオーバーしてそれを絞るのにひと苦労した場面もありましたがお施主様の粘り強い努力のお陰で最終的にはなんとか調整できました。そして無事にリノベーションをさせていただくことができました。

 

それでは実際にお施主様がどのようなご要望をお持ちであったかをお話させていただきます。まず一番にリボーンキューブにご依頼いただいた最大の目的でもある温かみのある木の質感を感じられる空間にしたいということ、そしてお子さんが二人おられるため将来的に個室を作れるゾーニングにしたいこと、また収納を充実させつつもすっきりとした空間に見せながらご主人の趣味のギターも飾れるようにしたいこと、キッチンを対面式にして収納を充実させ、ゆくゆくは奥様が自宅で料理教室も開けるような開放的なキッチンにしたいということ、そしてなによりも家族が楽しく集える空間にしたいということなどをご要望でした。

 

これらを叶えるべく空間のデザインを行いました。
ゾーニングは、間取りが真ん中の玄関より左右に振り分けられた空間のため、その右側部分全体をLDKとしてとるようにゾーニングして約24帖ほどの広い空間がとれました。

 

キッチンはアイランドタイプに設えるようにしてシンクと作業台をとり、その背面に収納とガスコンロをとり多人数で作業しても動線を確保できるようにし、なおかつ広く使えるようにしました。圧迫感をなくす意味でも背面の収納部分の一部を開けて間接照明を取り、壁面にモザイクタイルを張ることでアイランドキッチン部分のモザイクタイルとの一体感を計りました。
キッチンの右手に目隠しを兼ねたパーテーション型の収納を作り、両面から収納できるように設えました。これは将来的にご夫婦の寝室をこの部分に取ることを想定しての設えとなっております。

 

リビングからバルコニーへはウッドデッキを配して開放的にお使いいただけるようにしました。
ご主人の趣味である音楽を楽しんでいただくためにリビング上部の梁部分に6m近くあるCD棚を2段作らせていただき、スピーカーも天井付けで取り付けさせていただきました。
水回りはできる限り広めにとりすっきりと使いやすく全体的な統一感のあるデザインされた空間に仕上げさせていただきました。
当面ご家族でお使いになる寝室はカーペットとクロスをデザイン貼りにすることで少しホテルライクな空間に仕立てリビングとは一味違った落ち着きとゆっくりとくつろげる空間に設えました。11帖ほどの広さがあるため当面はハンガーパイプと棚を設けることでウォークインクローゼット兼寝室としてお使けるようにもしました。将来的にはこの空間を間仕切って子ども部屋としてもお使いいただけるように想定しております。

 

このようにゾーニングして設えた空間にリボーンキューブならではのデザインを施して温かみのある木の質感を感じていただける空間に設えさせていただきました。今までのリボーンキューブのデザインテイストを踏襲した落ち着いた上質の空間に仕上がったのではないでしょうか。まさに仲のよいご家族が集われるのにぴったりな団らんできる空間を創らせていただけたのではないかと思っております。

 

今回のネーミングはお施主様が自らネーミングいただきました。日本語の造語をローマ字で“ kadan ”と命名いただきました。意味は、家族が団らんする空間ということから“家団”、そして新築マンションから敢えて古いマンションを購入されリノベーションを決断されたことや神奈川の川崎でのリノベーションを京都にあるリボーンキューブにご依頼されたという決断等から、果断の決意で望まれたことをとって“果断”というような2つの意味合いからネーミングいただきました。まさに今回のお施主様にふさわしいぴったりのネーミングではないでしょうか。

 

今回は遠方ではありましたが、ご入居後落ち着かれましたらぜひお伺いしてどのように住みこなされているかをぜひとも拝見したい素敵な作品となりました。
お施主様と直接お会いできた回数はかなり少なかったのですがその分密度を濃く本当に楽しくリノベーションさせていただけたことを感謝して最後に締めくくらせていただきたいと思います。

 

■物件概要/1979年新築(築後34年)・川崎市宮前区・個人住宅リノベーション・延面積82.86m²・構造:RC造4階建2階部分

 

■主要各部仕上および素材/面:スケルトンの上AEP塗装仕上(一部PBの上AEP塗装仕上)、クロス貼り仕上(寝室)・天井:スケルトンの上AEP塗装仕上、クロス貼り仕上(寝室)・床材:オーク無垢フローリング(オスモ塗装仕上)、タイルカーペット仕上げ(寝室)・バスルーム:TOTO製ユニットバス・シェルフ、クローゼット、建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:モザイクタイル囲いの上、サンワカンパニー製キッチン(ガスコンロ・食洗機付)・便器:リクシル製・その他:馬目地タイル(玄関・キッチン)・ウッドデッキ(ガラッパ)

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.12 / その他施工実例 『小さなお家にオンリーワンなご要望を目いっぱい詰め込んだ和モダンテイストな一戸建リノベ』

こんにちは~!

そういえばふと思い、確認すると今年に入ってまだブログを
更新していなかったことに気づきました。
年明けから何かと忙しくしていたせいで、すっかり忘れておりました。
それにしても、すでに3月も半ば近くになってきているので、
更新しないとブログをやめたと思われますよね。
・・・ということでブログアップしますね。
ところで、最近とみに感じるのが、京都市内の至る所で建設ラッシュだということです。
それも今まででしたら、ほぼ分譲マンションでしたが、今はホテルやゲストハウスです。
本当に多いですし、この勢いで完成したら数年後には過剰になるような気がしますが、
大丈夫なんでしょうか?
ほんとに大小さまざまなホテルやゲストハウスが乱立して来ている感じです。
通りによっては、通りの角から次の角までの間になんと!2~3件の旅館業の看板が
上がっており、実際に工事中のところや工事間近といった様相です。
また、すでに営業されている町家のゲストハウスや開業間もないホテルなども
たくさん見かけます。
ほんとにこれだけ沢山出来ると、今度は必ず選別が起こってくるでしょうね。
そのため、今までのように多少質が悪くても、泊まるところが少なければ、
需要がありましたが、そのようなところが軒並み空室になるでしょうね。
それは立地も含めてだと思いますので、数年先には戦々恐々とされている
事業者が増えるじゃないでしょうか。
そう思うと賃貸と同じく、明確に差別化を図り、特色を出すことで
生き残れるようにしないといけないと思います。
そうなるとリノベーションが一役を担うことになるかもです。
少し前置きが長くなりましたが、本当に最近目につきますので、
取り上げさせていただきました。
また、実際先日のメルマガでもお伝えしましたが、新聞記事にもなっており
数年後には、かなりの供給過剰になることが明白なようです。
それでは、仕切り直して本題に入っていきたいと思います。
今回のリノベーションはご覧の一戸建です。
元々改装済みの物件で、そのままでも使える状態でしたが、
そうは言っても、水回りはあまり手を加えられていないため、
十分とは言えない状態でした。
今回このような小さな一戸建を、お施主様のご要望を目いっぱい
詰め込んだ空間にリボーンさせていただきます。
ある意味、今までたくさんの一戸建のリノベーションを手掛けさせて
いただいておりますが、ここまで細部にわたり、こだわって造り込むのは、
ひょっとしたら初めてではないでしょうか。
それでは、いつものようにビフォア写真を追ってご紹介しますね。
また、今回はリノベーションからお手伝いさせていただきましたが、
購入される前からご相談いただいており、一緒に物件を内覧して、
リノベーション上のアドバイスをさせていただき、納得された上で
進められ、今回の物件購入に至られました。
では、早速写真を追ってお伝えしますね。
まずは、外観からです。

ご覧のような外観です。

こうして見てもお解りいただける通り、小さなお家です。

延面積が55㎡ほどですので、マンションでも

そう大きくない専有面積になります。

それが一戸建だと階段などもあることから、本当に

小さく感じられますね。

次にこちらは、玄関になります。

玄関もほんとコンパクトでしょ。
でも、小さなお家は小さいからこそ、いい意味で少しおもちゃっぽく
感じられ、かわいくていいですよね。
この玄関の感じもタイルを含めてなかなかいいですよね。
ですが、今回玄関位置を変更するため大幅にチェンジしちゃいます。
そして、こちらは玄関付近を室内側から撮った写真です。
玄関開けたらいきなりリビングになってます。
・・・ということで下駄箱も置くスペースがないので
使い勝手はかなり不便だと思います。
そしてこちらはキッチン側からリビング空間を撮った
写真になります。
西に面した窓から陽が差し込んで明るい感じです。
先程の玄関を入ると、このスペースになります。
そしてこちらはキッチンを撮った写真です。
キッチンもこの空間に合わせて非常にコンパクトです。
それに壁付けなので、スペースをできるだけ取らないように
設置されてます。

そして、こちらはキッチンの向かい側にあるトイレです。

シンプルなトイレで便器自体も新品のようですが、キッチンの真向かいで

位置的にも使いにくいので、変更する予定です。

そしてこちらは洗面です。
先程のトイレの隣でコンパクトな洗面室です。
一般的には洗面室に洗濯機を置くようなレイアウトが
多いですが、こちらは狭くてそのスペースがありません。
では、洗濯機がどこにあるのかというと裏庭になります。
外部でもありますし、一般的には好まれないため、
リノベーションする際は外部には取りません。
そして洗面台も新品に取り換え済みですが、入れ替えるため
使用しないので、少しもったいないですが撤去します。

そしてこちらが浴室になります。

昔の浴室という感じでタイル張りで、写真で観るよりも

実際はかなりコンパクトなサイズです。

今回お施主様が浴室にもかなりのこだわりをお持ちのため、

大きさを含めビフォアの状態は全く影も形もなくなりますよ。

そして階段部分を撮った写真です。
唐突に階段があり、動線的にもすごく使いにくそうです。
ほんとにすべてがコンパクトな家なので、仕方ない部分はありますが、逆にコンパクト
だからこそ、しっかりと動線よくゾーニングしないといけませんよね。
そして2階へと上って行きますが、この階段も結構急勾配です。
このぐらいの広さの家ではよくあることですし、これも仕方ないかも
知れませんが、出来ればもう少し勾配を緩くして、上り下りが
楽になるようにしたいと思います。
そしてこちらは2階のお部屋です。
写真の手前の部屋と引戸奥の部屋との2室になります。
1階同様ほんとうにコンパクトです。
その2階の部屋を先程の反対側から撮りました。
そうそう、このお家は北西ですが、角家なので明るいです。
この写真をご覧いただいても解るように2室とも明るいですよね。

2019.03.12 / その他施工実例 アール使いが特徴的なリビングと40㎡もある広いルーフバルコニーを持つマンションリノベ

今回の案件も他社にて物件をお申し込みされた後にリノベーションの依頼のみ頂きました。また、こちらも「Old blue」と同様他社での物件購入でありながら、弊社で住宅ローンの申し込み手続きを代行させて頂くなど、リノベーションだけにとどまらない幅広いお手伝いをさせて頂きました。物件的には70m²弱の一般的なファミリータイプのものでしたが、稀少な最上階南向き角住戸で、何と言っても小さなマンションの一住戸分にも相当するほどの37m²ものルーフバルコニーが圧巻のお部屋でした!しかもマンションの立地自体が若干高台になっていることも手伝って、陽当たりや眺望も“超”が付くほど抜群で、眼下に京都市内を望む類い希なロケーションを持った素晴らしポテンシャルの住戸でした。しかし、現状はその開けた視界とは逆方向に対面させたキッチンの配置になっているなど、せっかくのロケーションが必ずしも活かし切れていない間取りになっていました。

 

リノベーションに際しての最大のご要望はその広いルーフバルコニーを最大限に活かすことでした。ゾーニングは小さなお子さまを含めたご家族3人が向こう10〜15年くらいのあいだ快適に暮らせることを前提とした2LDKとし、ご家族が集われるリビングルームをできるだけ広くとることをテーマに打ち合わせを進めて行きました。デザインテイストは高級感のあるシンプルモダンな空間をご希望だったため、床や壁やキッチンタイルなどに濃いめの色合いをもってくるなど落ち着いた雰囲気でまとめて行きました。また、リビングの一角に横になったり腰掛けたりできる小上がりのタタミコーナーを設けたいと言うご希望をお持ちだったため、高級感のあるリビング空間に違和感なく溶け込む様アールを取り入れたデザインでご提案させて頂きました。

 

ご希望予算に対して見積もり額が大幅にオーバーするなど、完成に至るまには様々なハードルがありましたが、本当に必要なモノ(ご要望)の取捨選択とあわせ、今回のケースではいつも以上に多くの設備や備品等を”施主支給”にてご用意頂くなど、お客さまにも多大なご協力頂きながら乗り越えて行きました。そうして居ながらにして絶好の眺望を楽しんで頂けるキッチンなど、お客さまのご要望通りのルーフバルコニーを活かしたシンプルモダンな空間が誕生したのでした!

 

作品名の「Ally(アーリー)」はお客さまよりご提供頂いたもので、この度のご計画の最大の動機となられた“お子さまのご成長”に思いを込められ、そのお子さま(お嬢さま)の愛称をそのまま作品名としてネーミングされました!そんな愛情とこだわりのいっぱい詰まった空間でこれからもご家族と共にスクスクと健やかにご成長されることを願ってやみません。

 

■物件概要/1996年3月新築(築後17年)・京都市東山区今熊野南日吉町・区分所有マンション・個人住宅部分リノベーション・専有面積69.97m²・構造:RC造6階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面、天井仕上:PB貼りの上AEP塗装仕上・床仕上:無垢パインクリフローリングOS塗装のうえオスモ塗布仕上・浴室:TOTOユニットバス(施主支給)・洗面室:シナOSCL塗装オリジナル洗面化粧台(施主支給洗面ミラー取付)、床Pタイル貼り仕上・WC:TOTO(レストパル施主支給)、床Pタイル貼り仕上・玄関:300×600角タイル貼り仕上・建具および特注家具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:モザイルタイル貼りオリジナル対面キッチン(リクシルシステムキッチン施主支給)、300×600角タイル貼り仕上・その他:給湯機交換等

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.12 / その他施工実例 RC造のアーティスティックでレトロモダンな味わいのあるビルを1棟フルリノベーション

今回のお施主様はかなり以前からご相談をいただいておりましたがなかなか物件が見つからずにずっと探しておられ、やっとご希望に叶う物件をご自分で見つけられたためにリノベーションからお手伝いをさせていただくことになりました。
今回の建物はRC造りの4階建のビルでしかもその当時かなり個性的(今でも個性的ですが)な建物であったろうと推測する造りでした。実はこの建物はリボーンキューブの事務所の近くということもあり以前より前を通るたびにこんな建物をリノベーションしたみたいとなぁ〜と密かに思っていた建物だったんです。それだけに内覧をさせていただいた時はかなり興奮したのを覚えております。では早速どのようなリノベーションをさせていただいたかを含めて順にご説明していきたいと思います。
まず最初にご説明したとおりRC造りの4階建のビルで建物の前後で階層が段違いになっておりそれを真ん中の階段で繋げているようなスキップフロア形状になっておりました。そして現状は全室が事務所仕様になっておりましたのでお施主様もこの建物がはたして実際に住まいになるかが半信半疑に思われていたところもありました。そしてこの建物をお施主様のご希望として自宅兼お菓子教室兼パティスリーにされたいということでご依頼をいただきました。ですがまずはそれらのご要望の中から自宅とお菓子教室とに照準を絞ってリノベーションすべく打ち合わせを重ねました。

 

お施主様が建築に明るくお好きで詳しいこともありご要望がかなり明確であったことから数多くお持ちだったのでご要望を整理しながらカタチにさせていただくことから始めました。例えば、基本室内は全て白で統一するということやパリのアパアルトマンのような空間にしたいということ、また自宅部分のキッチンのレイアウトや使う素材、その他の部屋についてもどの部屋をどんな感じで使いたいかというイメージやカラーなどをきちんとお持ちでした。
お菓子教室とその生徒さんがくつろがれるサロンについてのレイアウトも同じように使う素材やゾーニングなどのイメージをお持ちだったのでそれらをひとつひとつ聞き取りさせていただきバランスよくデザインし、そしてそれらを図面に落とし込んでいくというような作業をさせていただきました。リボーンキューブに相談される前に他の設計士さんにかなり具体的に相談されていたようで余計にその辺のイメージを明確にお持ちだったのではないかと思います。
お施主様のご要望を反映した図面を作成していくと今までに例をみない量の図面になり軽く厚手の単行本並みに積み重なりました。もちろん一棟なので室内のリノベーションだけではなく外部や屋上なども含めて全体を図面にしないといけなかったからでもあります。それらを纏め上げて何度も打ち合わせを重ねようやく見積が取れる状態にまで煮詰めることができましたがいざ見積を取るとやはり予想通りかなりの予算オーバーだったため再度打ち合わせを重ねできる限り削ぎ落とし、なんとか予算に合うところまで持って行くことができました。その頃にはお施主様が思われていたタイムリミットギリギリの状態になっていました。
そしてようやく工事に着工できる状態になったのですが、新築当時に建物を敷地いっぱいに建てられていたこともあり隣接の方の敷地内に足場を立てさせていただかないと工事が進まないという状況がありそのご了承をいただくのに一苦労することなどがあったり、一棟建物ならではの苦労もありましたがなんとか無事に工事を進めることができ、お施主様の思われていたタイムリミットギリギリになんとか間に合わせることができました。そんないろいろな思いをさせていただき出来上がった時には本当に感無量な思いがしました。

 

ではもう少し詳細にリノベーションの内容をご説明します。
まず2階の表側はお菓子教室に設えるべく大きな大理石のカウンターを持つ作業台とお菓子作りに使う細々した道具類が収納できるようにし、壁側の一面はオーブンを6台とり収納を充実させました。またもう一面は5m強あるロングなキッチンを設え、業務用の冷蔵庫や食洗機が収まるようにIKEAで収納部をレイアウトし特注のステンレス天板(1枚もの)を取り付けました。壁面はレトロな雰囲気が漂う馬目地の二丁掛タイルを貼り仕上げました。
2階奥のサロンは目隠しを兼ねたガラス張りのパーテーションを配して壁面にはローボードを設えました。これらの空間を白色で統一するというご要望がありましたのでできる限り他の色は入れず、床面だけをサロンはオーク無垢フローリングとし教室は同系色の木目調タイルでスッキリと仕上げました。

 

自宅部分は3階の表側はLDKとして壁面にキッチンをとり、その両脇に収納を配しました。この収納に用いた金具がお施主様たってのご要望で開く収納ですが閉まった状態はフラットにできる特殊な金物を採用しております。
キッチン部分のカウンター天板にはコーリアンを貼りすっきりと仕上げました。そのカウンターの上部にお施主様が数年前に購入されてずっと眠っていたバカラのペンダントを取り付けさせていただきました。
3階の奥側はお子様の寝室と書斎をとり、4階の奥側には主寝室と在来工法で50角のモザイクタイルを張った明るい洗面と浴室をとりました。
自宅部分は全室、壁と天井に珪藻土を塗って仕上げました。
広い屋上は全面ウッドデッキ張りに仕上げ使いやすく将来的に屋上を緑化されたいというご要望でしたので緑が映える設えにしました。

 

1階は表側にパティスリーを造る計画のため現状のままとし、真ん中の吹き抜け部分にシンボルツリーを植えられるように花壇を設けました。その奥は天井高が低いこともあり使いにくいため広い収納スペースとしていろいろなものが仕舞えるようにしました。
外壁は元々黒色だったのですが全て白色に塗り替えました。

 

以上のように一棟まるごと余すところなくリノベーションさせていただき本来の独創的なRC造りの建物の良さを残しつつもお施主様のご要望にあうようにポテンシャルをアップした建物へとリノベーションさせていただきました。このようにリノベーションならではの良さを存分に発揮できた作品に仕上がったのではないかと思っております。

 

今回のネーミングですがお施主様自ら命名いただきました。フランス語で“ MAISON BLANCHE ”です。意味はもちろん今回の作品を見れば一目瞭然ですが“ 白い家 ”という意味です。白にこだわってフランスの街角にありそうな佇まいの建物にリノベーションさせていただいたからです。お施主様はご主人がフランスの方で奥様が日本の方そして小さいお子さんが一人おられるというご家族です。奥様がお菓子教室をされ、ご夫婦ともフランスっぽい感じを好まれ、アンティーク家具がお好きでそれらを多くお持ちということもあり、それらが映える白い空間にされたということです。また今回のお施主様はお引越し後から何度かお邪魔させていただいており置かれている小物やアンティーク家具などのレイアウトセンスの良さに感嘆しております。シンプルな白い空間にそれらが映えてあたかもどこかフランスのお家にお邪魔しているのではと錯覚するほどにすでにみごとに住みこなされてます。
今回のリノベーションもいろいろ難題がありましたがそれらを乗り越えて無事に完成でき、お施主様に気に入ってお住まいいただけているのが何よりうれしいリノベーションとなりましたこと感謝して締めくくらせていただきたいと思います。

 

■物件概要/1978年新築(築後35年)・京都市中京区・個人住宅リノベーション・延面積275.38m²・構造:RC造陸屋根4階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:RC躯体(一部PB)の上AEP塗装仕上、珪藻土仕上・天井:RC躯体の上AEP塗装仕上、珪藻土仕上・床材:オーク無垢フローリング(オスモ塗装仕上)、木目調タイル仕上・洗面、バスルーム:在来工法による50角モザイクタイル貼り、INAX製浴槽、洗面ボウル、テンパーガラス等・シェルフ、クローゼット、建具:シナウレタン塗装仕上・キッチン:モザイクタイル貼り、システムキッチン・便器:INAX製・その他:大理石トップカウンター、照明器具一式(間接照明含む)、コーリアントップカウンター、AEG製オーブン用造付収納家具一式、ガラス入りパーテーション、既存サッシ入替え、マグネット塗装、ウエスタンレッドシダー材ウッドデッキ、外壁ウレタン塗装等

 

■リノベーション期間/約3ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.12 / その他施工実例 機能的、合理的にリノベーション 南向き最上階、陽当り眺望良好のマンション

今回のお施主様も物件の購入からリノベーションまでの全てをお手伝いさせていただきました。まず物件を探し始められた当初は比較的築年数の新しいマンションをお探しでしたがいくつか物件をご覧いただきながら古いマンションの良さも再認識いただき、あとはリノベーションすることでご満足いただけるレベルにできることをご理解いただけたことで最終的には築年数が40年経過した南向きの最上階で陽当りと眺望が非常に良いヴィンテージ感のあるマンションをご購入いただきました。

 

それではそのご購入いただいたマンションのリノベーション内容について詳しくご説明していきたいと思います。
お施主様はシングルの女性の方でご希望も至ってシンプルで、「機能的であること、合理的であること」というご要望でした。あとはこの物件に決定された理由である陽当りの良さを最大限に活かせるように広くて明るい空間に仕上げることでした。

 

これらのご要望を受けて60m²の広さを基本的にワンルームにするプランをさせていただきました。ただそれでは単に広いだけの空間という印象になるため、寝室としてお使いになる空間を緩やかに間仕切るデザインをご提案させていただきましたが最後の最後まで悩まれた結果、全く間仕切らずに完全にワンルーム空間でお使いになることで決定されました。
元の玄関部分が閉ざされており照明を付けないとほぼ真っ暗であったため、明るくしたいというご要望がありましたので玄関からリビングへの扉は透明のガラス戸にして明るく広がりを感じられるように設えました。
またキッチンも元々の形状が使いにくい配置になっていたのですがマンションの構造上キッチンスペースを大幅に移動できないことなどから敢えて同位置にすることとし、そのかわり明るく機能的に使えるように全面タイル張りに仕上げ、シンプルに業務用キッチンで設え、そしてその空間に洗濯機も配置できるように仕上げました。
またお施主様がこだわられた部分として水回りを基本的に洗面とトイレそしてバスルームとが一体で明るく広々した空間にすることでした。ただし機能的であることやコスト面を考慮して在来工法は採用せずにユニットバスで計画しました。ユニットバスを洗面側にガラス張りにできるものを採用してあとは洗面とトイレとをコンパクトにゾーニングし、その分メリハリを付ける意味でも壁一面だけにガラス製のモザイクタイルを張るというデザインにして、お施主様のご要望に沿った水周りを明るく広々とした一室空間に仕上げました。
ワンルームなので十分な収納を確保するためにWICを造って充実を計りました。そしてキッチンから続くリビングをゾーニングするために収納付きの固定したテーブルを造らせていただきました。

 

このようにお一人で機能的に合理的になおかつ快適にお住まいいただける空間を設えさせていただきました。本当にシンプルな空間なのですがそれが返って心地のよいすっきりした佇まいに仕上がったのでないかと思っております。

 

今回のネーミングはフランス語で”l’espoir “と命名させていただきました。意味は“ 希望 ”です。その理由はリノベーション完成後にお施主様との間で工事の内容について若干の行き違いが生じ、意に沿わない結果がありましたがそれらもご了承いただけましたのであとは将来に向けて快適にお住まいいただけることを“希望”するという意味合いを含め、願いを込めてこのネーミングにさせていただきました。なのでお施主様が落ち着かれましたらお伺いしてネーミング通りにお住まいいただけているかをぜひとも拝見ししたい作品となりました。
色々な意味で希望を込めたよいリノベーションを施主様と一緒に造らせていただけたことを感謝させていただく作品となりました。

 

■物件概要/1973年新築(築後41年)・京都市左京区・個人住宅リノベーション・延面積63.60m²・構造:RC造7階建7階部分

 

■主要各部仕上および素材/壁面:スケルトンの上AEP塗装仕上(一部PBの上AEP塗装仕上)・天井:PBの上AEP塗装仕上・床材:オーク無垢フローリング(オスモ塗装仕上)・バスルーム:パナソニック製ユニットバス・シェルフ、建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:モザイクタイル貼り、業務用キッチン(ガスコンロ付)・便器:INAX製・その他:ガラス製モザイクタイル、タイルカーペット等

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)