その他施工実例

2019.03.15 / その他施工実例リノベーションでお互いが快適に住み分けできる二世帯住宅を

今回のお施主様は若いご夫婦とお母様との2世代でお使いいただくためのリノベーションと言うことを踏まえコストを抑えつつ、世代が異なることでの趣味や生活スタイルの違いを受け止めて、お互いが違和感なく快適に同居できる空間を造ることを目指しました。

 

また造り込まれた整然とした空間ではなく、少し片づいていないぐらいのラフな空間がお好きとのご要望がございました。特にキッチン周りのご要望が食器やフライパンなどを見せた状態で飾るような感じが欲しいと言うリクエストでした。今までRe:BORN cube で手掛けてきたお施主様のリクエストはあまり片づいていないところを見せたくないのでスッキリと隠したいというご要望が多かったため、今回は全く逆のリクエストを承りました。

 

そして今回キッチンを含むリビングスペースを大幅に広くするようなゾーニングがプラン上難しいため、当初リビングに向かってI型の対面式キッチンをお施主様がご要望でしたがI型では幅が狭くお施主様のご希望される充分な収納を持ったキッチンが収まらない事もあり、シンク側とコンロ側に分割させて前後に配列することで使い勝手を良くし、充分な収納力も確保出来るように配慮しつつ、キッチンスペースとして広々と使えるように設えました。
そしてご要望であった見せながら食器や調理器具を仕舞えるようにするために棚を出来るだけオープンで確保し、機能的にもご満足いただける様にしました。

 

またもう一つのご要望であったリビングのシーリングファンとデッキを設けるべく、出来るだけ天井を高くとりシーリングファンを設置出来るようにし、リビングから掃き出し窓を通して一直線につながるデッキを設置して広がりを持たせました。

 

また1階リビングのちょうど上階がお母様のリビングと寝室になるため若いご夫婦が遅くまでリビングでくつろがれても音が上階に伝わりにくいようにスケルトンにするのではなく床材に用いるのと同材質の無垢の杉板を天井にも張り遮音とデザインの両方を満たすように設えました。

 

次に玄関ホールですが、この建物が造られた当時に流行した吹き抜けになっており広々とはしていましたが取って付けたような下駄箱がポツンと置いてあり、非常に無駄に広い空間に感じました。
その空間を当初のご要望では吹き抜け部分の1面全体を書棚にしたいと言うリクエストでございましたがコストの問題と吹き抜けの高い位置の書棚が実際には使用不可能であろう事から計画を変更し、ローボードを配して現実的な収納力と吹き抜け空間全体を取り込んだ一体感のある空間にすることにしました。

 

また1階の若いご夫婦の寝室やウォークインクローゼット部分などはコストを抑えるために床・壁・天井の仕様を市販のクロスや合板床材で仕上げるようにしました。ただし機能的にもデザイン的にも Re:BORN cube らしさを保てるように入口ドアや収納扉は誂えるスタイルとしコストを考慮しつつもメリハリの効いた仕上がりとしました。

 

そして洗面室はいつもの Re:BORN cube テイストを踏襲しシンプルだけれどデザインされていてスッキリと清潔感のある水回りに仕上げ、浴室はシンプルなバリアフリーのユニットバスとして機能的にお使いいただけるのは元よりコストにも配慮しました。

 

次に2階のお母様のリビングは狭い空間ですが機能的にお使いいただけるように現在お持ちの食器棚や冷蔵庫等の寸法をプラン上に落とし込みキッチンと1列で収まるゾーニングとしました。そして床材も1階リビングと同じ杉の無垢フローリングをリクエストいただきナチュラルな空間に仕上げました。

 

また2階に元々あった和室はそのまま和室としてお使いになることからお客様の応接を兼ねられるように旧来の和室から Re:BORN cube テイストを取入れた和モダンな空間へと変貌させました。

 

以上のように今回のリノベーションでは、リビング以外ほとんどゾーニングを変えずに元の状態での使用となりますが、それぞれの空間をお施主様の使い勝手を考えリノベーションすることでそれまでとは違う個性的な空間に仕上げるように設えました。
またこのようにゾーニングを変更しないことや内部の使える素材をそのまま使用したり、外部も特に傷みがなかったために全く手を加えずにリノベーションすることでコストを抑えながらもその他の部分に効率よく費用を配分することで、メリハリの効いたリノベーションをすることが出来ました。

 

そして今回のコスト抑制のために和室や寝室などの室内には市販のクロスを使用し、そのクロス柄をお施主様に大胆に選んでいただくことで、今までの Re:BORN cubeテイストとはひと味違った、お施主様のカラーが非常に出せたおもしろい仕上がりになってのではないかと思っております。
そして若いご夫婦と年配のお母様とがお互いに快適に住み分けしていただけるようなリノベーションをさせていただくことが出来たと自負しております。

 

また最後に今回の作品名「aile」はフランス語で「翼」という意味があり1階リビングと寝室に設置したシーリングファンがあたかも飛行機のプロペラであるような趣と、日本ではなくどこか外国の家の趣を連想さすような今回の作品にピッタリのネーミングとしました。

 

■物件概要/1987年新築(築後22年)・京都府八幡市橋本・個人住宅リノベーション・1階71.18m2 2階 47.85m2・構造:木造スレート葺2階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:1階リビング、ローカ、玄関吹き抜け及びホール部分 PB下地の上AEP塗装仕上(1階寝室、2階リビング、寝室、和室、ローカ、洗面部分 PB下地の上クロス仕上)・天井:1階リビング、ローカ、玄関吹き抜け及びホール部分 PB下地の上AEP塗装仕上(1階寝室、2階リビング、寝室、和室、ローカ、洗面部分 PB下地の上クロス仕上)・床材:1階リビング、玄関ホール及びローカ、2階リビング、寝室部分 無垢杉フローリング(オイル塗装仕上)・2階和室部分 無垢オークフローリング(オイル仕上)縁取りの上 縁なしカラー畳・1階寝室、ウォークインクローゼット及び2階ローカ部分 ナショナルカラーフロアー・洗面室部分 ビニル床タイル・浴室:トステムユニットバス・建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:45角タイル張りオーダーメイドオリジナルステンレス製キッチン(IH3口コンロ)・トイレ:ウォシュレット付便器・デッキ:無垢杉フローリング(クリア塗装仕上)・オール電化仕様

 

■リノベーション期間/約2ヶ月(解体工事期間含む)