その他施工実例

2019.03.30 / その他施工実例古い木造2階建テラスハウスを1・2階それぞれにステイできるゲストハウスにリノベーション

今回のお施主様はリノベーションからお手伝いさせていただきました。お施主様は日本の方ではなく台湾の方で、弊社のことはインターネットで調べられてお知りになりました。また、自住用で使用されるのではなく、ゲストハウスとして運営するためにリノベーションされたいというご意向でした。京都でも数多ある会社から、弊社をお選びいただいた理由を聞くと、素敵な作品事例がたくさんあったことと、和モダンのおしゃれなデザインが得意のようだと、推測いただいたからでした。そしてお施主様は、日本語が非常に堪能で会話にはほとんど苦労することなく、すべて日本語でお話を進めさせていただけました。ですが、やはり習慣などの違いから、齟齬が生じることもあり、そのギャップを埋めるのが多少大変な面もありましたが、違う国の方とリノベーションを介してご一緒させていただける貴重な機会となり、本当に有益でした。また、余談になりますが、台湾には、やはり親日家の方が多いということで、お施主様もそのおひとりで、日本のビジネス慣習や工事の進め方などについても非常に信頼を置いていただけたため、すごく進めやすく、大きな問題になることはありませんでした。

 

それでは、具体的にどのようなリノベーションをさせていただいたかを掻い摘んでお話ししたいと思います。
まず、ご要望として、今回2階建のテラスハウスを1棟でゲストハウスとして使用するのではなく、上下別々でゲストハウスとして確保したいというご要望でした。そのため、当初ご希望されていた予算よりも大幅にオーバーすることになりましたが、予算的なこともご了承いただき、無事に進めることが出来ました。 ではまず、1階部分から説明させていただきますが、1階は客室としての採光基準を確保する関係から、室内だったところを裏庭に変更しないといけないという制約がございましたが、逆にそれを含めて高級な旅館を思わせるようなラグジュアリーな空間にしたいというようなご要望でした。また、2階は水回りを確保するとそう広い空間が取れないこともあり、カジュアルな空間でよいというご要望でしたので、その予定で進めさせていただくことになりました。
ただし、ゲストハウスの営業許可規定がご依頼を受けたちょうどその年度から改正されることになり、それまでの基準ではなく、一段と厳しくなることから、それも踏まえ進めさせていただくことになりました。そのため、ゾーニングとして、どうしても確保しないといけないスペースが、1階玄関を入ったところに帳場を含め共用スペースにしなければいけないということでした。それを考慮してプランニングさせていただきましたが、その分どうしても1階の客室スペースが狭くなることから、必要最低限を確保できるカタチでゾーニングさせていただきました。それから、浴室ですが、2階は1階よりも狭いこともあり、なおかつ当初シャワーブースで計画しておりましたが、必ず浴槽を設置しないといけないという規定から、ゾーニングを変更して浴室を設けるという制約も受けました。これらの規定がいつもご自宅としてリノベーションさせていただく時とは全く違う部分であり、コストも掛かってしまうことになりました。 ですが、それらの規定をクリアするカタチでも、当初ご提案したデザインとゾーニングを確保することが出来たため、上下で客室を造るプランで進めさせていただきました。そして1階は、ラグジュアリー感を出すため、水回りを含め、高級旅館を思わせるような和モダンな雰囲気に仕上げさせていただき、なおかつ客室から庭の景色も楽しんでもらえるように設えました。そして、2階は水回りを出来る限りミニマムに確保しましたが、使いやすく設え、必要にして十分な広さを確保し、その分客室を出来る限り広くゾーニングするようにプランしました。また、2階は畳の間をご希望されたため、フチなしの畳を採用させていただき、カジュアルですが、落ち着きのある空間に仕上げさせていただきました。
このように1階と2階でイメージと設えを変えることで、泊まられるお客様の客層の差別化も意識しながら設えさせていただきました。
お施主様が自らこのゲストハウスを運営・管理されることから、主な宿泊客が台湾の方になるということですので、そのゲストの方々が気持ちよく、ゆっくりとくつろいでいただけるような日本的な空間を造らせていただけたのではないかと思っております。

 

今回のネーミングについてですが、ゲストハウスとして屋号を付けられたその屋号”MIYABI(ミヤビ)“をそのまま採用させていただきました。まさに今回の和モダンなリノベーション空間に相応しいネーミングではないでしょうか。
最後になりましたが、今回のリノベーションも、台湾という今までのお施主様とは違う文化圏のお施主様と共に、慣習などの違いを乗り越え、楽しく有意義なリノベーション作品を創らせていただけたことに心から感謝して、締めくくらせていただきたいと思います。

 

■物件概要/築年数不詳・南区西九条・ゲストハウスリノベーション・延面積52.22m²・構造:木造瓦葺2階建テラスハウス

 

■主要各部仕上および素材/壁面:PBの上AEP塗装仕上・天井:PBの上AEP塗装仕上(2階部分:既存天井上塗装仕上)・床材:無垢杉フローリング(2階部分:フチなしタタミ仕上)、土間コンクリート仕上、Pタイル貼り仕上・バスルーム:1階、2階LIXIL製ユニットバス・洗面室:1階、大型ミラー、造り付け収納、サンワカンパニー製洗面ボウル・2階サンワカンパニー製洗面台・建具:木製格子建具(OS塗装仕上)、両面格子ワーロン挟み込みシナ建具(OSCL塗装仕上)、シナ建具(OSCL塗装仕上)・キッチン:サンワカンパニー製ステンレスキッチン、IHコンロ、ステンレス製パイプ棚・便器:INAX製・その他:照明器具一式、エアコン2基等

 

■リノベーション期間/約3ヶ月(解体工事期間含む)