その他施工実例

2019.03.12 / その他施工実例広めの玄関土間にレトロな外灯。遊び心たっぷりのマンションリノベーション

今回も物件の購入からリノベーションまでのすべてをお手伝いさせていただきました。お施主様はご結婚されて数年経たれたご夫婦で、お住まいになっているご近所で当初一戸建を希望されておりましたので、数件ご紹介して内覧をいただきましたが、なかなかピンと来られる物件がなかったことから、範囲を少し広げ、マンションも並行して探すようにさせていただきました。そして探していくと、一戸建はやはり予算も含めて厳しいことから、マンションにシフトして物色し、数件の物件を内覧いただいた中から、価格が手頃で専有面積も広く管理が行き届いた今回のマンションを気に入っていただき、購入いただくことになりました。
実は今回のマンションの築年数は40年ほど経過しておりますが、管理が行き届いており、戸数が多いため管理費などのランニングコストも安く、トランクルームも全戸に完備され、非常に住みやすい環境のため、以前から目を付けており、機会があればぜひ一度リノベーションしてみたいと思っていたマンションでした。そのようなことからお施主様に気に入っていただけて本当によかったです。

 

では次にこのマンションを、どのようにリノベーションさせていただいたかについて、お話させていただきます。
まず、今回物件を内覧した際に感じたことは、玄関横の洋室が広めにゾーニングされているため、寝室としてゾーニングさせていただくとするとそこまで広い空間は必要ないため、その洋室部分の一部をエントランスに取り込むことで、広いエントランス空間を取ることができるということでした。その他は、専有面積も広めなので、お施主様のご要望を十分に満たせる空間が実現できると思ったことでした。

 

それではより具体的に、リノベーションをさせていただいた内容について説明させていただきます。
まず玄関部分ですが、先程お話しした通り内覧の際に感じた通りに、お施主様にも共感いただけましたので、玄関の土間スペースを広く取り、そこに奥様がカメラマンをされているため、その機材などを効率よく収納できるクローゼットを造りました。またそのエントランスにデスクを置いて仕事をしていただけるスペースを確保しました。そしてその空間にお施主様のご希望で、本来は外灯として使う照明器具を2灯壁面に取り付けさせていただき、エントランスの土間空間が、あたかもどこかの街角であるかのごとく仕上げました。
エントランスに隣接している洋室は、お子さんができられるまで当面はご主人がギターを弾かれる空間になることから、ギターを飾れるようにギターフックを設え、CDやレコードそれに楽譜などを置けるように棚板を多めに設けました。またミニマムの空間であるため閉塞感を感じないようにエントランス側に小窓を設けることで、明るく繋がりの感じられる空間に仕上げました。
次に水回りですが、お施主様のご要望でトイレと洗面室は全面にレトロな質感のボーダータイルを貼って仕上げ、その他には、アイアンなど無骨な素材を用いてシンプルに仕上げることで、狭さを感じさせない遊び心が溢れた空間に仕上げました。
浴室はお施主様のご要望で広めの1坪タイプを採用し、シンプルなユニットバスに仕上げ、ゆったりと快適にお使いいただけるようにしました。
WICは広めにとって、両側にポールと棚板を配し、このスペースですべての収納がまかなえる様に考えて設えました。
寝室はリビングと隣接させることで、マンションの構造上エアコンを寝室に付けられない欠点を補うため、空調をリビング側から取れるよう、開閉ができるスチール製の大型FIXを採用して、レトロ感を醸し出しつつ、なおかつ寝室であることが解りにくいようにチェッカーガラスを採用しました。

 

そして最後にメインであるリビングはお施主様の数々のこだわりが凝縮された空間になりました。
まず、キッチン自体は業務用でシンプルかつ無骨に仕上げ、その周りをタイルではなくブロックを積み塗装で仕上げました。テーブル部分もコンクリート板を採用して同色に塗装しました。キッチン側面をボーダータイルの馬目地張りで仕上げることで、無骨になり過ぎずにおしゃれ感を醸し出して仕上げました。キッチン背面は機能を重視し地袋と天袋でとることで、十分な収納量を確保しました。キッチン上部には、アイアン製の無骨な収納を設えしました。キッチン背面と天井面のスケルトン部分は、いつもより粗めに塗装を施し、下地のコンクリ部分が透けて見えるぐらいの粗めに仕上げました。
全室に採用したフローリングは、お施主様のこだわりでナチュラルな風合いの無垢フローリングが多い中、ダメージ加工されたパイン無垢フローリングをお選びいただき、全体のコンセプトと相まって自然な仕上がりになりました。

 

以上のように、今回もお施主様のこだわりを詰め込みながらも、リボーンキューブのフィルターを通すことで、デザインされたシックで素敵な空間に仕上げることができました。ネーミングについてですが、一番特徴のあるボーダータイルからイメージを膨らませて、ノルウェー語で“bølge(ボルギャ)”と命名させていただきました。その意味は“波”です。ボーダータイルの表面がランダムに波打っている様が、まるで波のようであることからネーミングさせていただき、様々な言語がある中から字体を含め、インスピレーションで今回のネーミングをお施主様に採用いただきました。まさにこのネーミングがぴったりの無骨だけれど、おしゃれでシックな空間に仕上がりました。
この後はお施主様にこの空間を住みこなしていただき、お施主様自身がカメラマンをされていることから、その空間の一コマをカメラで切り取っていただき、ぜひ拝見できればと願っております。

 

そして最後に今回も、物件の購入からリノベーションまでのすべてをお任せいただけ、お施主様と共にこのように素敵なオンリーワン空間を創造させていただけたことに深く感謝して終わらせていただきたいと思います。

 

■物件概要/1975年新築(築後40年)・京都市中京区・個人住宅リノベーション・延面積74.05m²・構造:RC造71階建2階部分

 

■主要各部仕上および素材/壁面:PBの上AEP塗装仕上(一部スケルトンの上AEP塗装仕上・一部PBの上クロス仕上)・天井:スケルトンの上ケンエース塗装仕上(一部PBの上AEP塗装仕上・一部PBの上クロス仕上)・床材:パイン無垢フローリング仕上(ダメージ加工仕様)、モルタル土間仕上・トイレ、洗面室壁面:タイル仕上(馬目地張り)・シェルフ、クローゼット、建具:シナベニアの上OSCL塗装仕上・キッチン:ブロック積みの上AEP塗装仕上・業務用キッチン・便器:INAX製・その他:スチール製吊り棚(エキスパンドメタル板仕様)・スチール製FIX(チェッカーガラス入り)・TOTO製洗面ボウル・アメリカンスイッチ・ブラケットライト・黒皮アイアン棚板等

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)