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2019.03.15 / その他施工実例 中古マンションをヴィンテージ空間にリノベーション

今回は河原町通に面した比較的こぢんまりとした分譲マンションの一室のリノベーションでした。また今回は「中古購入×リノベーション」の全てお任せ頂きました。

 

ファーストコンタクトは、お施主様の方でほぼ購入を決めておられた物件があり、その物件の下見への同行でした。どこまでスケルトンにでき、どの様なリノベが可能か、どの程度の予算が必要かなどをアドバイスさせて頂くためにご一緒させて頂きました。その結果もほぼお施主様がご要望されていた通りでしたので、あとは最後のご決断をされるのみと言う段階でした。が、あと一歩何かが足りない?と言う感じで悩んでおられ、もしも他に良い物件があれば教えて欲しいとのご要望を頂きお別れしました。
そしてそれから数日後、先の物件よりも古びたマンションでしたが、眺望が良さそうなリノベ向き?と思える物件がたまたま売りに出て来ました。眺望は良さそうなのですが、バルコニーが無かったり、建物そのものもマンションと言うよりもビルっぽい感じで、かなりマニアックそうな物件ではありますが、とお断りした上でご案内させて頂きました。 実際に内覧してみると、部屋そのものは築34年相応の状態で、天井も低く圧迫感がありましたが、点検口からチェックするとスケルトン状態では天井高が3m近くとれそうな事や、窓も大きく予想していた以上の眺望で、鴨川や大文字が一望できる絶好のロケーションだった事、そしてマンションでは珍しく屋上も開放されており、その屋上からの眺めが更に素晴かった事などから、いくつかの課題は残っていたものの、一目惚れに近いかたちで即決して下さいました。

 

打ち合わせに際しては、お施主様の方でご購入を決められている家具を含め、空間を構成する要素など、全てにおいて明確なイメージをお持ちでした。それらの要素を取り入れて、ヴィンテージ感の漂う無国籍なイメージの空間をつくる事がデザインのテーマでした。
具体的な要素としては、「アイアン」「木」「白ペンキ」「モルタル」「グリーン」の5つで、器(部屋)としてはそのうちの「木」と「白ペンキ」と「モルタル」の3つの要素でイメージを表現し、残りの2つの要素は家具と植物などで表現する事として打ち合わせを進めて行きました。

 

床のフローリングをはじめ、木部には100年以上も前に使用されていた本物のヴィンテージウッドを使い、粗さのある躯体の壁や天井をそのままに、新たに造作するブロックの壁や囲いも、積みっ放しの粗い仕上げとしヴィンテージ感を表現し、ラフなイメージのアイアンの家具や観葉植物がしっくりと溶け込む様にする一方、バスルームにはジェットバスなど快適性も兼ね備えた最新の設備を導入しました。

 

また、経年変化によって表面に錆びが出てヴィンテージ感と味が出て来る様に敢えて仕上げの塗装を省いた無垢のスチールドアや、それに使用する「ビス」も同じく錆びが出てくる様に表面のメッキを酸で剥がして使用したり、モルタルの塗り方や仕上げ方も注文するなど、施工の過程においても細部に至るまで注意を払いながら、全てにおいて妥協のない空間づくりを目指しました。

 

こうして完成した空間ですが、正確にはまだ完成していない状態です。もちろん、どのお施主様のどのお部屋もそこに家具やインテリアが入り、「主」がそこに住まわれて初めて完成すると言えるのですが、今回は特に先に触れたデザインの重要な構成要素である5つのうち「アイアン」と「グリーン」の2つがまだ欠けている状態だからです。
と言う事で、差しあたり?工事が完了した状態の写真を掲載させて頂きますが、実際にお施主様がお住まいになられて全ての構成要素が揃った段階で、再度撮影させて頂き、その写真も掲載させて頂く予定ですので、そちらの方も楽しみにしておいて頂ければと思います。

 

作品名である「Trunk」については、トランクと言う言葉から、使い込まれて味がある感じや、良い意味で古びてくたびれた様な感じや、無国籍な感じが連想された事、またミニマムなワンルーム空間の中にそれぞれの要素を集約した(詰め込んだ?)、と言う様なイメージから決めさせて頂きました。

 

■物件概要/1974年6月新築(築後34年)・京都市上京区河原町通今出川下る・区分所有マンション・個人住宅リノベーション・床面積39.06m2・構造:RC造6階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:スケルトンAEP塗装仕上(一部モルタルシゴキのうえ塗装)・天井:スケルトンAEP塗装仕上・床仕上:無垢パイン材フローリング仕上(ヴィンテージ古材)、モルタルクリア塗装土間仕上・バスルーム:造付のうえ床、壁面45角タイル貼仕上・玄関:モルタルクリア塗装土間仕上・本棚等木部:無垢パイン材(ヴィンテージ古材)により製作・収納およびWC建具:黒革スチールドア・キッチン:コンクリートブロック囲いオリジナルアイランドキッチン(SANWA COMPANYコンパクトキッチン使用)・トイレ:INAX REGIOノーブルブラック(床モルタルクリア塗装土間仕上)・その他:TOTOジェットバス施工、浴室暖房乾燥機

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.15 / その他施工実例 開放的なリビングとデッキでビーチサイドに建つサーフハウスのような空間に

今回のお施主様は当初一戸建でお探しいただきなかなかご希望に添うような物件が見つからず、中古マンションにシフトしお探しいただきそれでもなかなかご希望される条件の物件が見つからずに、もう一度一戸建に戻り条件を緩和して探すことにより、当初の予定よりも郊外ですが予算を含めてご希望に沿う物件を見つけることが出来ました。最終的にご相談いただいてから物件が見つかるまでに1年半以上かかりましたので当初予定されていた時期を多少過ぎてしまいました。
しかしながらリノベーション内容についてはご要望を満たすことが出来る物件ですので結果的にお施主様にご満足いただけるリノベーションをすることが出来ました。と言うような経緯でお施主様と一緒に物件探しからご購入~リノベーションまでの全てをさせていただきました。

 

そしてリノベーションを進めるにあたり、最大のご要望は「広々と開放感のあるリビングとそこからつながる広いデッキが欲しい。」そしてお施主様の趣味であるサーフィンのサーフボードやウェアなどを土足のまま収納出来る納戸が欲しいと言うことでした。その2点を満たすべくゾーニングを考え今回のプランに纏まりました。

 

玄関を入るとまず目に飛び込んでくるのが広い土間空間とサーフボードを4セットまで飾れるラックです。一見するとサーフショップではと見まがうばかりの空間に設えてお施主様の遊び心をくすぐるようにしました。そして同じ空間内に全長4m以上あるポールを設置しサーフィン時に使用されるウェットウエア等を好きなだけ吊下げていただけるようにしました。
そして玄関を土間空間にすることで天井高が3m程確保でき、非常に空間として広く感じられるゾーニングになりました。また土間はブラックのカラークリートで粗く仕上げ、天井は内張を剥がして元の躯体をむき出しにし、建具などと同色で塗装しシンプルですがまとまりのある空間に仕上げました。

 

またお施主様があまり家具を置きたくないとおっしゃったので寝室にはパソコンやTVが置けるデスク代わりの棚板を取付けました。
また寝室から出入りするウォークインクローゼットも家具を置かずに済むように広い目に設けて、洋服や細々したモノを効率よく収納していただけるようにしました。

 

そしてメインの2階リビングは階段を上がるなり広々とした1室空間が視界に飛び込んでくるようにゾーニングしました。素材として床をパインの無垢フローリングに濃い目の塗装を施し、壁と天井の白い部分を吸収するように仕上げました。

 

またあまり料理などはされないと言うことでミニマムなキッチンを採用しましたが機能的には充分使えるオールステンレスの存在感があるキッチンを採用し、使わない時でも絵になるような仕上げにしました。そして Re:BORN cube の真骨頂であるキッチンバック収納は今回コストを抑えるためにも建具を採用せずに遊び心があるビロード調カーテンを採用し、いつもとはひと味違った仕上がりになりました。

 

またビフォア時には勾配のない平坦な低い天井でしたが天井の内張を剥がしてみると勾配をだせる高い天井に仕上げることが出来ることが判明したため補強のための梁も見せる仕上げで、あたかもそういう風にデザインしたかのような空間に設えました。

 

そしてリビングから広いデッキへは引込み可能なサッシを採用し出来るだけ開口を広く確保し、開放感と一体感を出すことに成功しました。またそのデッキ部分の一部を思い切ったゾーニングにより造った洗面・バスルームが一体になった空間には、1面全てをサッシによりガラス張りにすることで非常に明るく開放的な水回りに仕上げることが出来ました。

 

また今回、物件購入からリノベーションまでの予算がシビアに決っており余分なコストをかけられる余地が無いことで、逆にお施主様の本当に必要なご要望のみをスポイト出来たために非常にシンプルだけれどもデザインされたメリハリの効いた空間を造る事に成功しました。

 

そしてお施主様がRe:BORN cube のリノベーションに絶大な信頼をいただいていることで提案を受け入れていただきやすくリノベーションならではの作品を造ることが出来ました。そして最後に今回の作品名「kuria」はお施主様のお子さんのお名前をとっています。スペルは違いますがまさにクリア=透明で明るく開放感のある今回の作品にピッタリのネーミングであると思います。さながらビーチサイドに建つサーフハウスのような空間に住みこなされることが想像出来るお住まいになることと思います。

 

■物件概要/1981年新築(築後28年)・京都市右京区鳴滝・個人住宅リノベーション・1階62.33m2、 2階 34.78m2・構造:木造スレート葺2階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:PB下地の上クロス仕上・天井:PB下地の上クロス仕上(1階玄関ホール及び2階デッキ部分 スケルトンの上OS塗装仕上)・床材:2階リビング 無垢パインフローリング(オイル塗装仕上) 1階ホール及び寝室 カーペット仕上・洗面及びバスルーム:100角タイル張り在来工法仕上・建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:オールステンレス製キッチン(2口ガスコンロ)・トイレ:ウォシュレット付便器・玄関土間:カラークリート仕上(ブラック)・デッキ:FRP防水下地の上 無垢パインフローリング(オイル塗装仕上)

 

■リノベーション期間/約2.5ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.15 / その他施工実例 リノベーションでお互いが快適に住み分けできる二世帯住宅を

今回のお施主様は若いご夫婦とお母様との2世代でお使いいただくためのリノベーションと言うことを踏まえコストを抑えつつ、世代が異なることでの趣味や生活スタイルの違いを受け止めて、お互いが違和感なく快適に同居できる空間を造ることを目指しました。

 

また造り込まれた整然とした空間ではなく、少し片づいていないぐらいのラフな空間がお好きとのご要望がございました。特にキッチン周りのご要望が食器やフライパンなどを見せた状態で飾るような感じが欲しいと言うリクエストでした。今までRe:BORN cube で手掛けてきたお施主様のリクエストはあまり片づいていないところを見せたくないのでスッキリと隠したいというご要望が多かったため、今回は全く逆のリクエストを承りました。

 

そして今回キッチンを含むリビングスペースを大幅に広くするようなゾーニングがプラン上難しいため、当初リビングに向かってI型の対面式キッチンをお施主様がご要望でしたがI型では幅が狭くお施主様のご希望される充分な収納を持ったキッチンが収まらない事もあり、シンク側とコンロ側に分割させて前後に配列することで使い勝手を良くし、充分な収納力も確保出来るように配慮しつつ、キッチンスペースとして広々と使えるように設えました。
そしてご要望であった見せながら食器や調理器具を仕舞えるようにするために棚を出来るだけオープンで確保し、機能的にもご満足いただける様にしました。

 

またもう一つのご要望であったリビングのシーリングファンとデッキを設けるべく、出来るだけ天井を高くとりシーリングファンを設置出来るようにし、リビングから掃き出し窓を通して一直線につながるデッキを設置して広がりを持たせました。

 

また1階リビングのちょうど上階がお母様のリビングと寝室になるため若いご夫婦が遅くまでリビングでくつろがれても音が上階に伝わりにくいようにスケルトンにするのではなく床材に用いるのと同材質の無垢の杉板を天井にも張り遮音とデザインの両方を満たすように設えました。

 

次に玄関ホールですが、この建物が造られた当時に流行した吹き抜けになっており広々とはしていましたが取って付けたような下駄箱がポツンと置いてあり、非常に無駄に広い空間に感じました。
その空間を当初のご要望では吹き抜け部分の1面全体を書棚にしたいと言うリクエストでございましたがコストの問題と吹き抜けの高い位置の書棚が実際には使用不可能であろう事から計画を変更し、ローボードを配して現実的な収納力と吹き抜け空間全体を取り込んだ一体感のある空間にすることにしました。

 

また1階の若いご夫婦の寝室やウォークインクローゼット部分などはコストを抑えるために床・壁・天井の仕様を市販のクロスや合板床材で仕上げるようにしました。ただし機能的にもデザイン的にも Re:BORN cube らしさを保てるように入口ドアや収納扉は誂えるスタイルとしコストを考慮しつつもメリハリの効いた仕上がりとしました。

 

そして洗面室はいつもの Re:BORN cube テイストを踏襲しシンプルだけれどデザインされていてスッキリと清潔感のある水回りに仕上げ、浴室はシンプルなバリアフリーのユニットバスとして機能的にお使いいただけるのは元よりコストにも配慮しました。

 

次に2階のお母様のリビングは狭い空間ですが機能的にお使いいただけるように現在お持ちの食器棚や冷蔵庫等の寸法をプラン上に落とし込みキッチンと1列で収まるゾーニングとしました。そして床材も1階リビングと同じ杉の無垢フローリングをリクエストいただきナチュラルな空間に仕上げました。

 

また2階に元々あった和室はそのまま和室としてお使いになることからお客様の応接を兼ねられるように旧来の和室から Re:BORN cube テイストを取入れた和モダンな空間へと変貌させました。

 

以上のように今回のリノベーションでは、リビング以外ほとんどゾーニングを変えずに元の状態での使用となりますが、それぞれの空間をお施主様の使い勝手を考えリノベーションすることでそれまでとは違う個性的な空間に仕上げるように設えました。
またこのようにゾーニングを変更しないことや内部の使える素材をそのまま使用したり、外部も特に傷みがなかったために全く手を加えずにリノベーションすることでコストを抑えながらもその他の部分に効率よく費用を配分することで、メリハリの効いたリノベーションをすることが出来ました。

 

そして今回のコスト抑制のために和室や寝室などの室内には市販のクロスを使用し、そのクロス柄をお施主様に大胆に選んでいただくことで、今までの Re:BORN cubeテイストとはひと味違った、お施主様のカラーが非常に出せたおもしろい仕上がりになってのではないかと思っております。
そして若いご夫婦と年配のお母様とがお互いに快適に住み分けしていただけるようなリノベーションをさせていただくことが出来たと自負しております。

 

また最後に今回の作品名「aile」はフランス語で「翼」という意味があり1階リビングと寝室に設置したシーリングファンがあたかも飛行機のプロペラであるような趣と、日本ではなくどこか外国の家の趣を連想さすような今回の作品にピッタリのネーミングとしました。

 

■物件概要/1987年新築(築後22年)・京都府八幡市橋本・個人住宅リノベーション・1階71.18m2 2階 47.85m2・構造:木造スレート葺2階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:1階リビング、ローカ、玄関吹き抜け及びホール部分 PB下地の上AEP塗装仕上(1階寝室、2階リビング、寝室、和室、ローカ、洗面部分 PB下地の上クロス仕上)・天井:1階リビング、ローカ、玄関吹き抜け及びホール部分 PB下地の上AEP塗装仕上(1階寝室、2階リビング、寝室、和室、ローカ、洗面部分 PB下地の上クロス仕上)・床材:1階リビング、玄関ホール及びローカ、2階リビング、寝室部分 無垢杉フローリング(オイル塗装仕上)・2階和室部分 無垢オークフローリング(オイル仕上)縁取りの上 縁なしカラー畳・1階寝室、ウォークインクローゼット及び2階ローカ部分 ナショナルカラーフロアー・洗面室部分 ビニル床タイル・浴室:トステムユニットバス・建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:45角タイル張りオーダーメイドオリジナルステンレス製キッチン(IH3口コンロ)・トイレ:ウォシュレット付便器・デッキ:無垢杉フローリング(クリア塗装仕上)・オール電化仕様

 

■リノベーション期間/約2ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.13 / その他施工実例 オリジナルの建具を効果的にデザインに取り入れコストダウン “和テイスト”の空間

今回は千本今出川に位置する総戸数400戸超えの大型分譲マンションの一室のリノベーションでした。このお施主様も「中古購入×リノベーション」のケースで、物件をお探しの段階からご相談頂いておりましたが、結果的にご購入自体は他社でされましたので、弊社としては主にリノベーションの部分に携わらせて頂きました。

 

ご購入時のお部屋の状況は、恐らく30数年前の時点から一度も改装等を施されていないであろう状態で、良く言えばリノベーション向きではありましたが、相当に古く、お世辞にも美しいと言える状態ではありませんでしたので、ご決断に際しては結構思い切られたのではないかと思います。
しかし、高層階ならではの景観が素晴らしく、大文字も一望できるお部屋からの眺望を拝見させて頂き“なるほど”とご決断されるに至った理由に納得しました。

 

建物全体としては、京都のマンションの中でも比較的古い部類に入るもので、リノベーションに際しても、古いが故のマンション側の制約が色々とありましたが、収納庫や牛乳受けが共用部の廊下に各戸専用にあったりなど、最近のマンションでは見かけることのない、どことなくユニークな施設が、時間の流れをゆったりと感じさせる、古き良き和やかなコミュニティを物語っている様な感じがしました。

 

リノベーションに際してのお施主様のご要望は、元のお住まいが京町家で、家具類も味のある骨董の和のもので揃えておられることから、全体的に和テイストでまとめることと、お仕事柄たくさんの蔵書を持っておられることから、壁面全体に大きな本棚を設えること、そして間取りついては元々閉鎖的に仕切られていた4DKを、開放感のある1LDKのゾーニングすることでした。
その他にも、バスルームをタイル貼りの在来工法にして、高級感のある据置式の浴槽にしたいなどのご要望を持っておられましたが、これらについてはマンション側の制約により、ユニットバスでの入替えのみしか対応できない等の理由から断念して頂かざるを得ませんでした。
しかし、そういった制約があったことにより、その分の予算を他の造作費用などに充てることができたため、結果的に全体のコストパフォーマンスは上がったのではないかと思います。

 

和空間の場合には特に、本格的にその意匠や要素を取り入れようとすると、それらの全てが膨大なコストアップに繋がってくるため、元々あった和室の障子に塗装だけを施しそのまま再利用したり、オリジナルの格子建具や和室の天井の竹組みなど、和の要素を効果的にデザインの中に配しながら、お施主様のご予算の範囲内で、リボーンキューブのデザインコンセプトのひとつでもある“禅スタイル”の和空間をご提案させて頂きました。

また今回、リビングルームの床の仕上げをフローリングではなく、市松貼りのタイルカーペット敷きにすることによって、ここでも大幅なコストダウンを図ると共に、フローリングとはまたひと味違った、落ち着きと品格のある佇まいを演出しました。

 

作品名である「Sabi」については、日本の美意識のひとつである“侘び寂び”から名付けました。
“寂び”の意味する「時と共に経年劣化した様子や、古びた様子に美を見出す意識」と言うところが、リボーンキューブのリノベーション全体のコンセプトにも共通するのですが、今回のお部屋のイメージやお施主様のご趣味のイメージにとても合う様な感じがしました。
また、数寄屋の様な完璧な和の設えではなく“禅スタイル”の和空間であることから、敢えてローマ字表記で「Sabi」とネーミングさせて頂きました。

 

■物件概要/1972年6月新築(築後36年)・京都市上京区五辻通浄福寺西入一色町・区分所有マンション・個人住宅リノベーション・床面積60.19m2・構造:RC造11階建

 

■主要各部仕上および素材/壁面:スケルトンAEP塗装仕上(一部モルタルシゴキのうえ塗装)・天井:スケルトンAEP塗装仕上(和室染竹組仕上)・床仕上:タイルカーペット貼り仕上(和室畳敷)・バスルーム:Panasonicユニットバスリノーヴァ・洗面室:シナULCL塗装仕上造付洗面カウンターのうえ床Pタイル貼り仕上・玄関:Pタイル貼り仕上・造作家具:シナOSCL塗装仕上・建具等木部:シナOLCL塗装仕上・和室およびリビング格子(オリジナル格子建具・和室サッシ側障子のみ既存利用)・キッチン:業務用ステンレスキッチン(特注仕様)

 

■リノベーション期間/約1.5ヶ月(解体工事期間含む)

2019.03.13 / その他施工実例 “禅スタイル”を取り入れ、シンプルな中に凛とした“和”を感じる空間へ

今回の作品は“couleur(クルール)”と同じマンション内で専有面積が2倍弱ある100m2強の現状3LDKを、広い1LDKにリノベーションさせていただきました。 ゾーニングからも分かるように1LDKをご夫婦のみでお住まいになります。

 

勤務先からほど近く、バルコニーが広く開放的で、なおかつ南西向きの非常に陽当りの良いマンションをご購入〜リノベーションまでの全工程をご依頼いただきました。
当初お施主様は新築マンションなどを主にご検討されておられましたが、海外での生活経験もおありの事から、日本の新築マンションの持つ個性のない空間に、違和感をお持ちでなかなかしっくり来られる物件がなく決めかねておられました。
その時にたまたまインターネットを検索していて当社のHPにたどり着かれました。当社HPに掲載している、当社のリノベーションコンセプト等に非常にご共感いただき、また新築にはない独特の仕上がり感に海外で生活されていた頃のお住まいを連想されて自分たちの探していたモノだと感じていただき、すぐさまお問い合わせいただきました。
またタイミング良く内覧会にもお越しいただけて、HPで見ているだけではない実際のリノベーション空間を体感いただき、ますます当社でリノベーションをとお考えを固めていただきました。
そしてご要望いただいていた内容の物件がタイミング良く勤務先の近くで見つかりました。

 

その見つかった物件は、もちろん古いマンションですが、管理状態が非常に良い、レトロ感のあるヴィンテージマンションの雰囲気を醸し出すマンションでした。
ただ現状は倉庫として長年使用されていたことから全く使えるモノはなく、見た感じもホコリが被っており、到底出来上がりを想像いただく事がかなり難しい物件でした。
ですがバルコニーが南側で非常に幅が広く、ウッドデッキ張りにすると現状では活用出来ていないバルコニーをLDKに取り込むことで生かせる事や専有面積が広い割には割安感のある物件でしたのでポテンシャルが高い、まさにリノベーション向きな物件でした。
その様な観点から全面的に当社をご信頼いただき、お話を進めさせていただくことになりました。
また先にご説明したようにご夫婦のみでご使用されるために広い専有面積を充分に生かしたリビングが確保出来るのとその広いリビングにバルコニーを取り込むことでプラスアルファな広がりを得られる事が魅力でした。

 

また、お施主様はお仕事柄たくさんのお客様がお越しになると言うことで、リビングに可変性のあるタタミコーナーを設けて、障子を開放しリビングと一体としてお使いいただくことも出来、なおかつ障子を閉めることでお部屋として独立するために、来客用に泊まっていただくことも可能にしました。
またお施主様は外国からの来客も多いという事で“和”を感じられるオリエンタルな仕上がりをご要望されました。

 

ですので全体的なリノベーションコンセプトとしてリボーンキューブが得意とする“和モダン”を表現する手法として “禅スタイル”を取り入れ、シンプルな中に凛とした“和”を感じていただけるように設えました。
またこちらもリボーンキューブの得意とする照明を利かして空間を楽しんでいただけるように、本作品にあった照明計画を立て、主にタタミコーナーの下部とキッチンバックの上部に効果的に間接照明を配して夜になってからゆっくりと大人の時間をくつろいでいただける空間を設えました。
そして水回りはお施主様のご要望でもあり浴室、洗面、トイレを1室空間に仕上げて広く開放的に設えました。またその水回りですが、今回当初の間仕切り壁がブロックで区画されていたために解体を控え、リノベーション前と同じスペースで効率的にゾーニングすることで、広がりを感じられ清潔感があり明るい仕上がりにしました。
そして、これもお施主様にご要望いただき“琉球ガラス”を用いてオリジナルの洗面ボウルを製作し空間にポイントとして効果的に配しました。
またリボーンキューブならではの壁面と天井を出来るだけスケルトン仕上げとすることで新築では絶対に出せない、古いマンションならではのコンクリートのもつ粗さがシンプルな空間に溶け込み、計画的に配した照明と相まって、非常にリノベーションらしい独特の仕上がり感を得ることが出来ました。
また床材もチークの無垢フローリングをお施主様にご要望いただいた事で、高級感のある仕上がりの中にどことなくオリエンタルな雰囲気を醸し出すことが出来ました。

 

以上のようにお施主様に絶大な信頼をいただけた事でリボーンキューブらしさを随所に出せたリノベーションをすることが出来ました。そして最後に今回の作品名「la divina」はイタリア語で「女神、神聖な」と言うような意味を持ち、ベジタリアンで信仰の深いお施主様のライフスタイルからイメージしてお施主様と一緒に考えネーミングさせていただきました。
本作品をお施主様が住みこなされ、落ち着かれた頃にご訪問させていただくのが大変楽しみなリノベーション作品となりました。

 

■物件概要/1974年新築(築後35年)・京都市左京区・個人住宅リノベーション・専有面積101.46m2・構造:RC造7階建3階

 

■主要各部仕上および素材/壁面:スケルトンの上AEP塗装仕上(一部PB下地)・天井:スケルトンAEP塗装仕上・床材:無垢チークユニフローリング(オイル仕上)・バスルーム:在来工法の上壁、床100角ホワイトタイル全面張り・シェルフ、クローゼット、建具:シナOSCL塗装仕上・キッチン:磁器タイル囲いの上、INAX製システムキッチン・洗面:琉球ガラスボウル(オリジナルにて作成)・バルコニー:セランガンバツ張り

 

■リノベーション期間/約2ヶ月(解体工事期間含む)